セッティング

全長4.9メートル、最大幅2メートルのRS Ventureの最大の特徴は14㎡のジェネカーといえる。横並びに設置された2つの座席の間に設置されたコックピットの中心を通るジェネカーハリヤードを引くと、バウ先端からポールが出てきて、自動的にジェネカーが開くことになる。このジェネカーハリヤードを座席に座りながら引くのが困難かつ若干シートが重く力を要する。テイクダウンは、同じくコックピット上のレバーを行くことでジェネカーハリヤードがカムから外れて、ジェネカーが落ちてくる。同時に、艇内のポート側にあるリトリバーラインを引くことでジェネカーがバウ先端から艇内に設置された格納ケースに取り込まれる。リトリバーラインは最後まで引き切らないとバウ先端でジェネカーが残り、強風時には風をはらむ危険性があるので注意が必要。

3.8㎡のジブセールはファーラーになっており、コックピット上のシートで出し入れを行う。チャーター艇ではジブシートはエンドが結ばれ一本になっていた。ジブカーは可動式だが、移動には座席から離れる必要があるため事前に調整が必要。11㎡のメインセールのトリム及び調整は、コックピット上のメインシート、バングシート、カニンガムシートで可能である一方でアウトホールとリーフラインについてはマストとブームの付け根辺りで調整する必要があるため座席からの移動が必要。また、リーフラインとアウトホールはブームエンドのカムに軽くかけてある程度なのでテープの補強で対処しなければアウトホールが外れる等の問題に直結する。

上記からも分かるようにコックピット周辺にはメインシート、ジブシート、ジェネカーシート等多くのシートが集中しており、これらのシートが絡まり合って座席との間に入り、シートが引けない等の問題が起こりやすい。各シートをつねに整理することが肝要。

また、操船中に頻繁に問題になったのが舵にメインシートが引っかかり、舵が効かなくなるという事象である。解消するには座席から離れスタンのツインラダー部分まで行かねばならないため、メインをシバーさせるときやジャイブの時は注意が必要。

座席は背もたれ固定ベルト付きのバケットシートを二つ左右にセッティング、取り外し可能。バケットシートはとても硬く、座っているとすぐにお尻が痛くなるため、各自でクッションなどを用意する必要がある。座席の前には足置きバーをセット、位置は5段階で調整可能。ジョイスティックは、左右の座席のどちらでもセット可能。ジョイスティックをセットしない座席の舵にはピンを差し込み動かないように固定する。ジョイスティックを左側に倒すと艇は右側に旋回し、右側に倒すと艇は左側に旋回する(Hansaのジョイスティックとは逆の動作)。

※舵については、電動アシスト機能も使用することが可能である。使用する場合、通常使用するジョイスティックとは別に電動車椅子を操作するのと同じような小型ジョイスティックを追加装備する。

操船

前述したが、RS Ventureの最大の特徴はジェネカーである。レースにおいてはジェネカーの使い方が勝敗を大きく左右するといえよう。特に、ジェネカーアップとテイクダウンのスピードとノントラブルが、RS Ventureのレースの大きな勝負のポイントになる。アップの場合はハリヤード1本を引くだけでポールも自動的に出るので、複雑な作業は生じない分、如何に速くハリヤードを上げて、ジェネカーシートを引いてトリムを練習する必要性がある。

ハリヤードの上げ下げを早くするには、ハリヤードを引く一回のストロークを大きくする必要があるが、座席に座ったままでは腕が座席の背に当たってしまうため、座席を離れてサイド側に移動してハリヤードを大きく引くクルーもいた。

また、ジェネカーのアップやテイクダウンの途中でハリヤードが引けないトラブルがしばしば発生した。その理由は、ジェネカーハリヤードがスタンのブロックや手元のジブシート・ジェネカーシートにからまっていたり、身体で踏んでしまっていたことが想定される。

強風時は、一度ジェネカーがはらんでしまうとジェネカーハリヤードが中々上がりきらない。はらむ前に一気にトップまでジェネカーハリヤードを上げることを心掛けたい。トリムについては、ジェネカーを前に飛ばすイメージでトリムし、ヘルムとの調子を合わせつぶれる時間を少なくすることが必要。特に、微風時ではジブの影響を最小限にするためジブを畳むこともジェネカーを潰さないための一つの方策である。

2018年9月27日 降旗 翔 コーチ、山本 真也 選手

上下架

スロープを用いる場合

キールはセンターボードに引き上げ、ラダーも上げた状態

クレーンを用いる場合

キールは重さ130kg、船底からスライドさせて取り外し可能